近年人々から関心を向けられているものの一つが、インポスター症候群とされる心理状態。一方で詐欺師症候群とも訳されるこの心理は、自己肯定感の低さや自信のなさに繋がるものとされています。
元来インポスターとは、詐欺師やペテン師という意味。
インポスターシンドロームとは、成功や名声を手に入れた人が、自分自身の能力はあまり高くないのに過大評価されていると、詐欺師のように周囲を騙している気持ちになるという心理状態。
厳密には心理学者の間でも、症候群とする精神障害や疾患ではなく、成功者たちの多くが感じる緊張感や不安感であるという見解が一般的になっています。
最初にインポスターという言葉が使用されたのは、1970年代のこと。
アメリカでさえ女性が高い地位についたり、業績が認知されることが珍しかった時代。
調査での女性の心理は、評価され成功したのが信じられないことや、周囲を騙しているような気がするといったものでした。
ただ単なる時代背景ではなく、女性の社会進出が進んだ後も、インポスターの心理に囚われたと告白する人は後を絶ちません。
ここでは、インポスター症候群を診断チェック、陥る要因と改善していく対応策を紹介しています。
頭の片隅に早く入れておきたい、インポスター症候群の自己診断テスト
| 1.「Yes」or「No」で回答。詐欺師症候群の判断問題
①他人と比べ自分はまだ足りないと、自分を追い込む癖がある
②物事が上手くいかないときの理由は、いつも自分にある
③称賛や励ましの言葉が、返ってプレッシャーになる
④自分の成果なのに、自身の能力として認めることができない
⑤完璧を追求するあまり、仕事を手放すことができない
⑥昇進や成功の理由を、自身の能力ではなく外部要因に探す
⑦自分のアイデアや意見より、相手の期待を優先する
⑧新しく取り組む際、失敗することをあまりに恐れがち
「Yes」が5つ以上あると、インポスター症候群に落ち入っている可能性が大。なるたけ早めに要因を探し出し克服へと繋げていきます。
インポスター症候群の病状が表面化する、要因となりがちな心理的側面
インポスター症候群を引き起こしている人の精神的背景には、無自覚のうちに発展してはいけないと思い込むことがあります。
要因はさまざまですが、これまでにして来た経験のほか、心理的負担などが挙げられます。少し見てみましょう。
| 1.子供時代の教育方針が大きく影響、脱却できない要因とも
子どもの頃から個性より、同調が求められたということ。他者と同じような立ち振る舞いを、教育されてきたことが要因の一つ。
ほかにも自身が成果を出すより、組織全体の成功結果や周りのことを優先するよう教育されたことなど。
インポスター症候群を引き起こしている人の中には、子供時代の教育方針が大きく影響しています。これはなかなか脱却することができない要因の一つ。
| 2.難易度が高い役目をすることに対する、抵抗感があるなど
仲間外れやいじめによる孤独感、そんなことも考えられます。自分の成功に対して周囲からの妬みがあったり、不首尾のときには周りから叱責されたり、揶揄されたりなどに繋がっています。
さらに成長することにより仕事量が増加して、難易度が高い役目をすることに対する、抵抗感も湧き上がってきます。
こんな心理的負担も要因の一つになっています。これも自分は変わらなくても大丈夫というもの。
| 3.時代的背景、無意識のうちに女性の成功は望まれていない
家庭的で慎ましくすることや、女性は女性らしい振る舞いをすること、そんな価値観の環境で育ったことの文化的要因も考えられます。
なので、女性の社会進出の時代的な背景により、無自覚のうちに女性が成功するのは望まれていないと刷り込まれています。
こういう風なことは、女性の方が影響に敏感なこともあり、取分けインポスター症候群が女性に多い理由の一つ。
さらに心理的な傾向として、女性は自分の実力や能力に自信が足りない人が多くいます。
未来に対する不安を払拭、インポスター症候群を上手く改善する方法
| 1.とりあえず周りの視線や将来不安などは、シャットアウト
この詐欺師症候群に悩む女性などは、ネガティブ思考に囚われやすく、未来に対して不安を抱きがち。
将来に対して考えることは大事なことですが、あまり否定的な思考に牛耳られてしまうと心身ともに疲弊します。
なので、たった今目の前にある事柄にも集中できなくなるもの。
これを避けるためには、とりあえず周りの視線や将来不安などはシャットアウトします。
先ずは目の前の事柄に集中することで、本来持っている自分の価値や能力にも段々と気付くようになります。
| 2.高評価をされたときや褒められた際、素直に受け入れる
褒められたときは、否定せず素直に受け止めるということ。日本人では褒められても敢えて否定したり、素直に受け止めない謙遜の文化が息づいています。
そのため無意識のうちに、自らを過小評価している人が多い印象です。
無自覚の謙遜であっても、自分を過小評価している間に、可能性を狭めることに繋がりかねません。
なので、高評価をされたときや褒められたときは謙遜せず、素直に受け入れる姿勢を心掛けます。
このことで自分に自信がつくので、徐々にインポスター症候群を改善できます。
| 3.完全主義の価値基準、他人に強いることでトラブルの原因
他の人にも自分にも完璧を求めないということ。何事も正確に完璧でなくてはならない、そんなプレッシャーは捨て去ることが大切です。
インポスター症候群に落ち入っている人は、思い描いた成功している自分と、自信を持てない現在の自分との隔たりに悩まされがち。
なので現在の自分を否定し、完璧な成功を追求する人も少なくありません。
また、この完全主義の価値基準を、他人に強いることでトラブルの原因ともなってしまいます。
自分も他者も過剰なプレッシャーで追い込むのを避け、完璧さを求めないようにすること。
| 4.何回も繰り返す間に、自己肯定力が自然と向上するもの
取り組みやすい小さな目標を立て、到達していくこと。詐欺師症候群に罹っている人は、自己肯定感が極度に低い傾向にあります。
常日頃から自己否定をしたり、卑屈になったりしている癖も、原因になっているものの一つ。
なので、どれほど小さな成功体験でも、自分を褒める慣習をつけていくことが大事。
仕事のみならず、趣味や家事などで小さな目標や課題を設定し、到達した際には自分を称賛することを繰り返します。
反復をしている間に、自然と自己肯定力が向上するもの。
| 5.心理的負担を軽減、サポートをしてくれる人たちの環境
インポスター症候群の悪化要因に、自分への過剰な期待や責任を負うことがあります。
これには対策もあり、それが自分より優秀なメンバー間に身を置くというもの。
それにより過剰な期待や責任を負わず、リラックスして事柄に取り組めるようになります。
解らないことや不慣れな仕事に取り組むより、サポートやアドバイスをしてくれる人たちのいる環境の方が、心理的負担を軽減できます。
まとめ
これは最近、人々の関心を向けられているものの一つ。インポスター症候群を診断チェック、陥る要因と改善していく対応策を紹介しました。その折には、ぜひお役立てください。
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